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パースを活用しましょ 初級編

ん、オーストラリアの都市がどうかしたの?
違います。
あぁ、タイガースの伝説の助っ人...
それ、バース。

パースというのはですね、元々英語の「Perspective」から来た言葉で、
写真の世界では「遠近感」を表す言葉になります。カメラには、焦点距離が短い
レンズほど遠近感(パース)が強調されやすく、逆に焦点距離が長い望遠レンズ
などはパースが利きにくいという性質があります。写真の世界では、この特性を利用
した様々な撮影技術が確立されています。

パースを活かした写真技法は色々有りますが、余り最初から飛ばして説明しても、
予め写真の心得の無い方は付いて来れない恐れもありますので、今日はハニスタで
使える初歩的な利用法からお話したいと思います。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_15194733.jpg

パースに拠る被写体の見え方の違い
両手の大きさに注目


写真の上側はパースを標準-5した物です。つまり遠近感を打ち消した写真ですね。
一方下はパース+5で遠近感を強調して撮った物。1枚1枚を単独で見た時は余り
違いを感じないのですが、こうして比べるとその差がハッキリと分かりますね。
下の写真はパースが利いている為に、手前の手は大きく奥の手は小さく見えます。
このように手前にある物はより大きく、奥にある物はより小さく見せる、という
のがパースの一般的な効果です。また写真のように、ハニセレではこのパースの
効果を逆に弱める事も可能です。
もし、この写真が「少女が貴方に手を差し伸べるシーン」だった場合、上下の内
どちらがより見る者にそれを訴えかけて来る写真と言えるでしょう?


・パースが写真にもたらす効果

パースを活かした写真には、どんな効果が期待出来るのでしょうか。この効果には
視覚的な部分と心理的な部分の2つがあります。

①視覚的な効果
まず奥行きのある背景では更に奥行き感が出ます。また人物と人物の間の距離感
も変わります。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_16440622.jpg

つまり広い場所をより広く見せたい時、或いは狭い場所をより狭く見せたい時
などに活用できる
という事です。但し、これはあくまでも元の画面そのものに
まず奥行きがある事が条件
です。この写真も、2人の少女が横並びの状態、
つまり今2人が立っている廊下を真横から見ているような状態ではパースは
効きません。
写真の舞台となるMAPを広々と見せたいような時に活用出来るアイデアです。
背景が壁紙などの平面では無理ですからね。

また、少女2人の見た目の距離を見て分かる通り、構図を変える事無く人物間
の距離の見え方を変えたい時
にもパースは有効です。そしてこれももちろん
一方の人物がもう一方の人物より画面奥側に居る(両者のカメラからの距離に
差がある)事が条件
になります。
これは、キャラのポーズも配置も決まってさあF11(キャプ)という時、
「いや待てよ、もうちょっとキャラ同士の間は遠い(近い)方が見栄えが良い
んじゃないかな?」などと感じた時に便利です。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_12541018.jpg

更に被写体が単独であってもパースが有効に働く場面はあります。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_18042256.jpg

写真上側のように、カメラアングルに対して被写体のポーズに奥行きが無い
場合、パースは有効に働きません。
パースは遠近感を強調する効果ですから
元のポーズに遠近差が必要なのです。(全く効果が無い訳ではありません)
一方、下側のようにポーズに奥行きが有ればパースの効果が出やすくなります。
一番最初にご紹介したSSも、片方の手は体の前、もう一方は体の後ろ側と、
ポーズに奥行きが有った為にパースが有効に働いた訳です。
さらに、こうした人物単独にパースを掛けて撮影する時には、カメラとモデル
の間の距離が近いほど強く効果が出る
という点も重要です。

ヒロインがカッコ良く刀や銃を構え、こちら側に突き出すシーン。或いは、
被写体がこちら側に手を伸ばして、誰か(何か)を捕まえようとする場面。
他にも俯瞰(鳥瞰とも言う:対象を上から見下ろす構図)や仰瞰(蛙瞰とか
アオリとも言う:対象を下から見上げる構図)
シーンに有用です。
例えば大人が子供を見下ろすシーンや、反対に子供が大人を見上げるシーン。
それぞれの体格差を強調したい時などに使えます。
他にもアパートの2階から道路の誰かに声を掛けるシーン、逆に道端から
2階の窓辺に立つ人を仰ぎ見るシーンなどなど、使い方は色々です。
(そんな事の出来るMAPがあれば...という話ですけど、正直まだ私にとって
MAP背景は未知の領域に近いもので)
そのようなシーンをより印象的に見せたい時などにパースを活用すると、
そのまま普通に撮るよりも印象的に見える場面を演出する事が出来ます。

②心理的な効果
既に上で書いてしまいましたが、パースが利いた(強調された)構図は、
シーンをドラマティックに見せる効果があります。物理的(構図的)にパースが
必要無い場合でも、そういった心理的な効果を狙って敢えてパースを使って見る
のも面白いでしょう。
※追記(2017/2/13)
基本的には①の効果を狙う場合はボタンを1回づつ押して必要最小限に、
逆に②のような心理的効果を狙う場合は、ドカン!とパースを掛けた方が良いと
思います。パースプラスボタンを押し続けると、そのうち被写体が歪んで見えて
来ますから、歪まないギリギリを狙ってみて下さい。



・もっと初心者的な使い方

ここで実際にモデルを使いながら、最も初心者的な(でも便利な)使い方を2つ。
と言っても、考え方を変えただけなんですが。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_18493244.jpg

モデルはお馴染み上杉2号ちゃんと、2年後神楽ちゃんの(ry です。
このパースの説明に二人のポーズは全く関係無いんですが、
一応上杉2号ちゃんは武道初心者のヘッポコな構え、神楽ちゃんは上級者という
設定で行きましょうかw 今回神楽ちゃんには形意拳の構えをして貰いました。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_19284915.jpg

撮りたいアングルがあるのに、手前側に酒瓶やら観葉植物やらがあって、
それが邪魔で良いアングルが取れない
時ってありますよね?
そういう時パースをプラスすると、手前にある障害物はより手前側に、
逆に奥にある被写体はより奥へと見た目上移動します。
上の写真では、標準の時に手前に大きく写っていた石が、プラス5の
時にはもうほとんど見えない位に小さく写るようになりました。
但しこの場合、写真のように被写体の見え方も変化しますから、
試して見てアングル的に問題が無ければ、という前提になります。

パースを活用しましょ 初級編_e0370811_20274453.jpg

もう一つも同じような考えから。遠近感がどうこうとかは別にして、
パースボタンで得られる見え方の変化に着目しただけです。

「パースとか印象的な演出とか良く分からないけど、取り敢えずパース
ボタンを使えば、背景の見え方を変えることが出来るって事は分かった」
...みたいな理解度でも十分使える技です。もちろんこれも被写体の見え方
が変化する事は同じですので、あくまでも試して見て大丈夫だと思えば
使って見るという事になりますね。


写真の世界でのパースには、さらに被写体深度と関係する「ボケ」の活用
という重要な技もありますが、それはまた次の機会に。
以上、パースの基本的な使い方のお話でした。

・ハニセレのパースボタンは、デフォルト
設定ではキーボードの「れ」「け」「む」
が書かれたキーが対応しています。
「れ」はパース・マイナスボタン、
「む」がパース・プラスボタン、
真ん中の「け」が、パースをデフォルトの
状態に戻す復帰ボタンです。
パースを活用しましょ 初級編_e0370811_14463728.png

所用の為、次回の更新は2月11日頃になる予定です。

by moriguchi01 | 2017-02-09 22:30 | 撮影テクニック