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肌ツヤとライティング

先日、日本のハニセレユーザー界を影から牽引する玄人集団が集まるpH板さんに
コッソリ投下したネタSSに、わざわざ管理人の雨宮さんがお返事をくれました。
雨宮さん、色々お忙しい中痛み入ります。この場を借りて御礼を。


さて、その時投稿したSSは確かにネタ臭満載なのですが、
私がこのキャラを作った理由も実はちゃんとあるんです。
今日はその辺のお話をしながら、キャラメイク時の肌設定と撮影時のライティングの
関係性についてアレコレ考察してみたいと思います。

肌ツヤとライティング_e0370811_22311140.jpg

で、これがその時のSSです。
サンダーバードのペネロープさん(のコスプレをする女性)とブレインズと
パーカーの(以下略
うぅ、元が人形だけにこの言い訳には無理があるw こんな頭デカイ人間イネェ!!
最初に思い付いた時「○○のコスプレをする人」って事にしとけば色々楽そうと
思いましたが、やはり万能ではないようです。


それはさておき、このPさんを作る動機となったのが、最近ハニセレユーザーの間
でも主流となりつつある、4Kないし8Kスキン環境下でSSを撮影した際に起こる
顔や肌のテカり現象です。
肌のキメが細かくなって見た目が美しくリアル寄りに見える恩恵を受ける替わりに、
肌設定や撮影時のライティングによっては、まるでマネキンか人形のように見えて
しまうという諸刃の剣...。要は肌がきめ細かくツルツルになった分、バニラの時より
多く光を反射するようになり、必要以上に肌がテカテカして見える弊害が出ている
という事でしょうか。

ん?人形に見えるんなら、いっそ人形作ってみたらイイんじゃね?
→ サンダーバードだ!と言う安易な発想から、故意にお顔テッカテカに見えるような
肌とライティングに設定して撮ってみたのがこのSSという訳です。
もうちょっと頑張って肌とライトを調整すれば、もっと人形っぽく見せられるとは
思うのですが、そこまでのモチベは湧かなかった。そういうSSです。

それと、話を始める前に念のため書いておきます。
最終的にキャラをどう作るか、そしてどう撮るかは完全に個人の好みであって、
本人がそれでいい、それがいいんだと思うならそれで万事OKです。
ここでそういうSSが多い風潮をどうこう言うつもりはさらさらありません。
ただ写真の情景に合わないようなマネキン肌のSSは、2.7次元美人の作成を
吹聴する私の好みではないなぁというだけです。
まぁキャラが人形に見えてしまう原因は単に肌ツヤ設定の問題だけではなく、
例えば撮影する時のカメラのアングルや、他にもパース設定などに起因する
はずなのですけど、その話はまた別の機会に。


では、肌設定とライティングによってキャラの見え方がどんな風に変化するのか、
実際に見てみる事にしましょう。
但し、ユーザーそれぞれでハニセレを動かすPC環境は違います。ですので私の検証も、
あくまで参考程度にしかならないと思います。その点はご了承を。

まずサンプルとなる素体を3体。

肌ツヤとライティング_e0370811_00305031.jpg

デフォの肌設定(ツヤの強さ35 ツヤの質感65)
そして微妙に数値を上下(それぞれDef+10とDef-10)させた2体
その他、肌の種類はタイプ1、肉感なし、肌の色設定はデフォのまま
という設定で3体ともに統一しています



そうそう、完全に余談になりますけど、ゾンビ肌もこの肌設定で作れます。
お暇な時に適当なキャラの肌設定を、ツヤの強さ100ツヤの質感0辺りにして
見て下さい。
元キャラの肌の色にも拠りますが、この肌設定で大概肌が土気色のゾンビっぽい色
になります。肌ツヤ設定をデフォのまま変更せず、色調整だけで肌を土気色に変えて
作ったゾンビちゃんの場合、ライティングによっては死んで土気色の肌になっている
はずなのに、妙に肌ツヤの良い「活き活きとした素肌のゾンビ」という矛盾した存在
に見えてしまう事があるのですが、肌ツヤ設定で土気色にしたゾンビは、少々ライト
が強く当たっても肌に強いテカリが出ません。興味のある方はお試しを...。


また話が逸れた。
急いで3体をスタジオ撮影です。
ライトはデフォの1.0の強さ。設定は撮影の邪魔になるビネットのみOFFしてます。


肌ツヤとライティング_e0370811_02584461.jpg

ハニスタのライトの強さ1.0というのは、丁度明るいスタジオ内をイメージさせる
ような光量です。或いは室外で例えるなら、春や秋の午後の日差しに近いでしょうか。

さて写真の三者の違いはいずれも微妙なので、画像を通してそれが伝わるかちょっと
不安ですが、まず真ん中の娘。左右の娘に比べ、鼻筋やアゴの部分にハイライト
(白く見える部分)が強く出ていますね。
通常、室内の照明で顔にここまで強いハイライトが出るシチュエーションは稀です。
真ん中の娘の顔の状態は、言うなれば照明の直下か至近に居る状態に近いと言える
でしょう。
逆に右側の娘の顔には非常になめらかなハイライトが掛かっています。これは間接照明
の室内や、或いは光源から遠い場所に居る時に近い状態です。

肌ツヤとライティング_e0370811_06520598.jpg

次にライトの強さを0.6に落とした状態で撮影です。
0.6という強さはやや薄暗い室内、あるいは曇り空の屋外の明るさ辺りに
相当しそうです。
先ほどのライト1.0環境でイイ感じだった右端の娘の顔からハイライトが消え、
眉の下辺りの影も薄くなってしまったせいで顔の立体感が失われてしまいました。
言い換えれば印象に残りにくい顔、写真を見る人の眼が引き付けられにくい顔に
なってしまったとも言えます。
昔読んだ写真の本の内容の受け売りですが、人物の写真を撮る時は、
顔の中にハイライトと影の両方を作るよう意識すべし

...的な事が書かれてありました。
写真という平面にある人間の顔に立体感を感じさせるには、光と影の両方が重要だ
という事ですね。それが最も顕著に分かるのが白黒写真です。

同一人物を同一の角度から、ライティングのみ変えて撮影してみます。
一方はなるだけハイライトも影も出来ないような角度のライティング、もう一方は
顔にハイライトと影の両方が出来るよう配慮したライティングです。

肌ツヤとライティング_e0370811_07510024.jpg

同一人物ですよ

写真に対する個人の好みは別として、パッと見た時に思わず目が行きやすいのも、
また印象深く感じるのも共に左側の方ではないでしょうか?
もちろんこれは写真の優劣を語る為の比較ではありません。
見る者の眼を惹き付け、強い印象を与えたいなら左側、そうでない方が相応しい
場面や対象には右側のようなライティングを選ぶ方が理にかなっているという話です。
被写体となるキャラを画面の中で目立たせたい、ドラマティックな印象を与えたい
ような場合には左側のようなライティング+ボケが適していますし、逆に絵画の
一場面のように、美しい風景の中に溶け込む被写体の姿を表現したいような時には
右側のように目立ちすぎないライティングが相応しい時もあるでしょう。
撮影者の意図に合った、それぞれふさわしいライティング法がある訳です。


また話題が逸れました。
話を0.6ライトに戻しましょう。つまり曇り空など顔の陰影が出にくい薄暗い
場面に、肌ツヤを少なく設定した被写体を主人公に使ってしまうと、撮影時に顔の
陰影が出しにくく、結果として主人公が印象深く映るSSが撮り辛くなるという事です。
真ん中の娘もギリギリOKですが、これ以上にツヤが強いと「薄暗がりの中にテカる顔」
になってしまい、見る者に不気味さを感じさせてしまうかも知れません。
左のデフォの娘はほぼ違和感無いですね。


それでは最後にライト1.1環境下での比較です。

肌ツヤとライティング_e0370811_08332670.jpg

ライトの調光をしない限り、強さ1.1~1.3ぐらいまでが不自然でない自然光と
考えて良いと思います。そしてこれはもちろん真夏の強い日差しのイメージですね。
上の写真の背景は真っ暗ですが、背景が日差し眩しい真夏のビーチだと考えれば、
最も相応しい肌ツヤは真ん中の彼女でしょう。逆に右端の娘は顔の陰影コントラスト
が柔らかすぎて、強い直射日光の下に居るようには見えません。


とまぁ、こんな風に、撮影する場面の明るさによって、設定した情景・背景と
しっくりマッチする肌ツヤと、あまりしっくり来ない肌ツヤがある事はお分かり
頂けたでしょうか?

撮影する背景によっていちいちキャラの肌ツヤを調整するなんて面倒ですし、
その必要を感じない限り特に必要ないと思います。
ですが、例えば真夏の海や真冬の雪空、薄暗い場所なんかに主人公キャラを立たせて
みたけど、何か背景から浮いてるように見える...なんて事があった時は、そのキャラ
の肌ツヤ設定が本当にその情景に合ったものになっているかを疑ってみる...
というのも問題解決の為のひとつの手だと思います。


by moriguchi01 | 2017-01-30 10:14 | 撮影テクニック