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日常を切り取る(2/2)

前回の
続きです。

男なら女性らしさを感じさせる仕草ならば、幾らでも挙げられますよね。
そういう意味でも、どんなポーズを選ぶか迷いましたが、今回は
「マニキュアを塗った爪を、ふーっと吹く動作」にする事にしました。
世の大半の男性は自分の爪に色を塗るなどした事が無いように、マニキュアは
凡そ女性独特の習慣です。それだけに、数ある女性らしい仕草の中からも、
時折写真のポーズに取り上げられる事もあるぐらいですから、ライティングの
練習としてだけでなく、ポージング練習の題材としても挑戦してみる価値は
ありそうです。


①アタリをとる(ラフにポーズを決める)
マニキュアというスタジオアイテムは無いですが、息を吹きかける動作なら、
反対側の手にマニキュアのハケっぽい物を持たせれば良いでしょうし、
息を吹きかける表情も、キスの口の形で代用が出来るだろうという算段で、
まずはざっとラフにポーズ付けをしてアタリを付けます。頭の中でイメージ
したものが実際に撮影できるレベルになるかどうかを、このポーズ付けで
確認してみる作業です。

もちろん最初からいきなりモデルを決めて撮影に掛かっても構わないのですが、
ポーズによっては髪型が合わなかったり、イメージと違う仕上がりになる
場合もあります。私の場合はまず上杉ちゃんでラフにポーズを作り、
それをIKデータにセーブ。その後でイメージに合いそうなキャラを選択する
という手順にしています。IKデータはマメに残しておく方が便利ですしね。

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まずはイメージを目に見える形にして
それを元にさらにイメージを膨らませて行きます


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②背景選び
次は背景選びです。これはもちろん無背景でもMAPでも構わない訳ですが、
今回のSS撮影の主眼はライティングの練習です。ライティングの難易度は
凡そ、無背景<壁紙写真<MAP という感じで上がって行くと考えています。
写真背景はライティングに縛りがある分、無背景よりも難易度が上がりますし、
MAPは自由に背景の見せ方を変えられる分、私などは余計にMAPを含めた全体の
ライティングに悩んだりしがちになるのです。
今回は綺麗な光が差し込む部屋の写真が自分のイメージに合いそうなので、
この写真を背景にSSを撮る事に決めました。

...と、ここで問題が。上の写真をご覧頂けば分かるように、背景を選ぶ段階でも
キャラをどこにどう配置すれば良いか試行錯誤しています。その中で気付いた
のですが、どうもキスの唇の形は爪に息を吹きかけている動作に見えないみたい。
どうも今回は「マニキュアを塗った爪を眺める仕草」に変更せざるを得ない様です。

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③モデルを決める
出来がどうなるかはともかく、SS撮影まで漕ぎ着けそうとなったら、
モデルを決めて細かいポージングに入ります。

最近のRatioはいわゆる整った顔立ちの女性顔作りはそろそろ卒業して、
個性のある美人顔を模索している最中です。10人のうち8人ぐらいが
美人と感じるだろうという顔ばかり作っていると、どうしてもキャラが自分好み
のタイプに偏ってしまい、同じ顔しか作れない、いわゆるハンコ顔職人になって
しまいがちです。ひとしきり自分の思う美人顔が作れるようになったら、
次はその経験を元に、個性ある美人キャラ作りが出来る様になりたいものです。
目指すはマルグレット嬢!

という事で、今回は26歳前後の、ごく普通の女性をイメージしたキャラを。
ちょっと張った頬骨を気にして横髪を垂らす髪型を変えられない、メイクの際は
余り大きくない眼をちょっとでも大きく見せようと頑張ってる、あるいは
「そろそろハタチの頃に使ってたようなリップの色じゃ、私も似合わなくなって
きたなぁ」とか考えてる、そんな10人中6~7人ぐらいが「結構美人だ」
と評してくれるぐらいの顔立ちを意識したキャラです。

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④衣装決め
キャラが決まったら、シーンに合わせた衣装に着替えてもらいましょう。
今回は自室の中という事で、まずアイシャドウやリップ・チークはOFFに。
実際の撮影ではモデルさんが嫌がる撮影ですが、今回はほぼスッピンで勝負
して頂きます。部屋でくつろぎながら新しく買ったマニキュアを試している、
そんな雰囲気を出す為、ヘアピンも髪に装着してもらいましょう。

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ポージング中の一コマ
ひじ関節に例の症状が... そして手がデカイ!
肘部分はアングルの工夫で回避、手はShortcutsHSで縮小します


⑤ポーズ決定&ライティング
下は今回の背景に使った壁紙です。既に「光源を探す旅に出る」の記事をお読み
頂いた方ならお分かりかと思いますが、窓から差し込む光は直射光と反射光が
混合したような光。それが部屋の白い壁に反射して、部屋全体を反射光が
満たしているような状態です。

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画面手前にキャラを配置するなら、窓からの光はほとんど届かない位置になる
キャラを照らす主な光は部屋全体から当たる反射光と見做して良さそうです


こうして写真から光源の種類、色、方向を類推して、基本的なライティング
を決めて行きます。室内のライティングのコツについては、いずれ近い内に
「光源を探す旅に出る 室内編」としてまとめるつもりでおりますが、
今日の写真のように、直射光よりも反射光が優勢を占める場所では、設定の
セルフシャドウで出来る濃い影が、却って撮影の邪魔になる事が多々あります。
今回の撮影でもセルフシャドウはOFFしたままの撮影としました。

それでは一応の完成写真を。

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いついかなる時もそうでは無いのですが、写真のアングルを決める際、
一般的には見る人に出来るだけ奥行きを感じさせる配置をする方が良いと
されています。完成前の写真では被写体は画面向かって左側に配置したり
していましたが、部屋の一番奥側をモデルで隠さない方が、見る人に部屋
の広さ(奥行き)を感じさせやすい為、今回はモデルを向かって右側に配置
した方が良いと判断しています。

強い光源は窓からの光のみなので、それに背を向けているモデルの露出は、
ややアンダー(光量が不足している状態)です。実際の光景であればモデルの顔
はもっと暗く見えているハズですが、そこまで再現してモデルの顔が真っ暗なら
それは失敗写真になってしまいます。そこで写真の嘘を使います。
正面側から柔らかい光を顔に当てモデルの表情をきちんと見せつつ、この部屋に
窓から以外の光源がない事を見る者に想像させる程度の暗さは敢えて残します。
またモデルを照らしている光は白い壁に当たって反射しているものなので、
ライトの色は黄色みを抑え白っぽくしています。さらに、反射光独特の柔らかい
光を再現する為、ライティングに際してはモデルに濃い影が出来ないように
注意しました。
本人的には、モデルの肩に当たる白く柔らかなハイライトだけは、今回及第点
と言える出来だったかと。

もちろん今回もたくさん反省点がありました。

1.小道具不足で、一見してマニキュアを塗っていると分かりずらい。
  ベタな色でもマニキュアを赤色にして、もっと赤い爪を見せた方が良かった。
2.せっかく付けたヘアピン、目立たなさ過ぎ。
3.やっぱり腕の形に違和感。これはしょうがないとしても、下唇の下側に出来た
  変な影は何とかしたかった。

などです。
如何だったでしょうか。普段私がどんな事を考えながらSSを撮っているか、
順を追ってお話させて頂きましたが、この記事が皆さんのSS撮影の何かの参考に
なれば幸いです。

by moriguchi01 | 2017-02-13 19:02 | 撮影テクニック