BOKEH ボケの活用(2/2)
2017年 02月 17日
前回の
続きです
やや消化不良気味に終わった前回の記事。
結局のところ今の私のMODやプラグイン環境で、40mm F1.4辺りで撮った
ような美しいポートレイト写真は撮れるのか、それとも無理なのか。
今回はその辺を突き詰めて行きたいと思います。
その前に、前回ShortcutsHSの被写界深度でピント合わせに用いた2つのスライダー
・焦点の当たる領域
・絞り
の2つについて、もう少し説明を。「絞り」についてはレンズのF値と全く同じで、
光を取り込む量を調整する物です。この絞りの値が小さければ小さい程、
ピントの合う範囲が狭くなります。
一方「焦点の当たる領域」とは、そのものズバリ被写界深度を直接操作するもの。
この焦点の当たる領域の値が小さければ小さい程、ピントが合う領域が狭くなる
という事になります。
通常はまず「焦点の当たる領域」で被写界深度を設定してから「絞り」で
ピントを合わせるという手順が妥当かと思います。
パブリックドメイン画像で拾ってきた台湾美人のポートレイト
美しくボケた背景ですが、ハニスタでこんなSSは撮れないものでしょうか
さて、上のような美しいボケを使ったポートレイトを撮るには、被写体以外の物に
ピントが合わない必要がありますので、当然「焦点の当たる領域」スライダーの値は
小さい方が良いという事になります。ところが実際にスタジオでキャラに被写界深度
設定を掛けると、何故か髪の毛が真っ先にピンボケを始めてしまい上手くボケが
出ません。実は昨日の記事で挙げたSSや他の記事のSSにも、髪の毛がピンボケ状態
の写真が多数あります。これが現状最も悩ましい問題で、撮影者は背景のボケを
選ぶか、それとも髪のピントを選ぶかの二択を迫られる状態にあるのです。
髪の毛がピンボケしない状態を維持しつつ背景をボケさせようとすると、
この写真辺りの僅かなボケが限界になってしまいます
上の本物の写真とは大違いですね
もちろんShortcutsHSには、この背景のボケ具合を大きくする方法もちゃんと
備わっています。上の写真の「最大ブラーサイズ」というスライダーを大きく
すれば簡単にボケ具合は調節できるのですが...
この様にボケ具合も大きくなりますが、髪の毛も一緒にボケるのでひどい状態に
と、こんな風に髪の毛に対する違和感も相当なレベルになってしまうのです。
この現象さえ解決すれば、本物には適わずともそこそこ良いボケが出せそうな
気がするのですが。
プログラムの事はチンプンカンプンな私には、この原因がソフト自体にあるのか
或いはShortcutsHSの設定側にあるのかは分かりません。分かったところでその
解決法すら分からないので言っても詮無き事とはいえ、何か変だなと思う部分は
1つだけあります。
上の写真をFalse状態に変えたもの
何故か髪の毛だけを認識していないようです
色々試しましたが、他の髪型でも同様に認識していない様子
ともかく、この髪の毛問題を解決出来ない以上、今はどうにかして
髪の毛のピンボケを目立たなくする方法で色々試みる他はありません。
※追記(2017/2/19)上記の髪ボケの件ですが、現状ではユーザー側で
対処の仕様が無い問題だそうです。
拠ってハニセレでボケを活用したSSを撮影する際、この髪ボケの問題を
回避する為には、以下の例の様な工夫を各自でして頂く事になるようです。
今回有益な情報をお寄せ下さったNockyさん、有難う御座いました!
※さらに追記(2017/3/27)
pH板のお友達「こんなモノ」さんのSSで発見しましたが、
髪型に拠っては、この厄介な髪ボケが発生しない物もあるようです。
これはデフォの上杉ちゃんと、こんなモノさんがキャラに使っていた髪型を
並べた上で背景を盛大にボケさせた1枚。ご覧の様に右側は全く髪ボケが
発生していません。現段階ではどの髪型がOKかは良く分かりませんが、
SSにボケを活用したい人にとっては朗報と言えると思います。
偶然とは言えこの発見の手がかりを頂いたこんなモノさん、今回も重要な
情報、誠に有難う御座いました!
では幾つか髪ボケをごまかす為の具体例を挙げてみます。
1.髪の毛のボケを背景の色でごまかしてみる
そのものズバリですね
本来の人物写真撮影のセオリーからは外れてしまいますが
2.アップで撮る
上の写真と比べて髪の毛のピンボケが気になりにくいのは
皆さんも一度はこういう写真を目にした事があるからです
目にピントを合わせて撮る事から「目ピン」写真とも呼ばれます
カメラの性質として、カメラと被写体との距離が近ければ近い程、ピントの
合う範囲はシビアになります。ですからモデルのアップ写真では、モデルの目
にはピントが合っているけれど、髪の毛や他の部分がボケている事が往々にして
あります。この特性を逆に利用して、髪の毛がボケて写っていても、見る人が
不自然と感じないシチュエーションを作って撮影する訳です。
3.被り物でごまかす
色々と試していると、どうも髪の毛は認識していないけれど、
帽子などのアクセならちゃんと認識してくれるようです。
被り物なら「そこにある」と認識している?みたいです
完全に髪を隠す物でなくとも、例えば帽子やヘルメットなどで髪の毛の
大部分を覆ってしまえば、髪ボケの違和感を減少させることが出来ます。
4.モデルからピントを外す
時には敢えてモデルからピントを外す演出もあります
こういう場合にも髪ボケはあまり気にならなくなります
と言った風に、現状では大きなボカシを活かしてポートレイトを撮るには
多少の制約、そして工夫が必要になると思います。他に良い方法が有れば、
皆さん是非Ratioにも教えて頂きたいと思います。
さて、こういった問題点は別として、ボケを活かした写真を撮る上で
是非知って置きたい注意点が1つ有りますので、それを紹介して置きましょう。
・ポートレイトで良いボケを出す為のコツ
ポートレイトも高等な手法になると「前ボケ」といって、被写体の前に敢えて
ピンボケさせるオブジェクトを配置するような場合もあるのですが、今回は
基本的な手法(被写体以外の背景をボケさせる)で撮影する際の注意点です。
まず一般的なMAPを使った撮影では多くの場合、上の写真のように
モデルの横や後ろ側にもたくさんのオブジェクト、例えば壁だったり
物だったりが点在している状況かと思います。
このような背景点在型の背景では、被写体であるモデルに近い物ほど要らぬ
ピントが合ってしまうという現象が起きます。
単純化して説明すると
この様にモデル以外の背景に近景・中景・遠景の3種があった場合、近景は
非常にボカしにくく、ハニスタでは次の中景ですらかなりボカすのが難しい
感じになります。ではどうするか。
そうです。簡単な事で、要はモデル以外全て遠景という状態を作り出せば
良い訳です。これは現実でも同じような事をします。ロケハンという奴ですね。
目的とする撮影に丁度良い場所を予め探す訳です。
モデルと遠景しか存在しないロケーションを探し当てれば
False状態ならこんな感じ ピント合わせもラクラク
被写界深度設定にも余裕が出るので、写真のように顔だけでなく前や
後ろ側の手にまでピントが合うようにしても、ここまで背景をボカせる
あとは髪の毛の問題だけ...
という事で、もしかして綺麗なボケが出せる画期的なアイデア
でも出て来るのか?と思って読みに来た皆さん、スイマセン。
ご覧頂いたように、今の所誰でも簡単綺麗なボカシポートレイト
を作れる訳ではないと思います。
ロケハンに時間を割くよりは、きにちみさんがコメントされた様に、
現状は背景の壁紙を加工ソフトでボカしてから使う方が、圧倒的に
楽にボカシポートレイトが作れるでしょう。
※追記(2017/2/19)
髪ボケの問題は、キャラの髪の毛の背後、それも直近に何かしら
オブジェクトを置く事で回避できるとの情報を得ました。
上の画像のように、キャラの背後に何でも良いので透過する物以外の
物体が来るような形でポージングすれば良いようです。
情報をお寄せ下さったこんなモノさん、有難う御座いました!
ただポートレイトに限らず、MAP写真背景でSSを撮る際に、
ここの場面は背景をボカしたいなぁ、などと感じた時、上記の髪の問題
にさえ注意すれば、被写界深度設定は十分各種のSS撮影に応用できる
機能だと思います。
続きです
やや消化不良気味に終わった前回の記事。
結局のところ今の私のMODやプラグイン環境で、40mm F1.4辺りで撮った
ような美しいポートレイト写真は撮れるのか、それとも無理なのか。
今回はその辺を突き詰めて行きたいと思います。
その前に、前回ShortcutsHSの被写界深度でピント合わせに用いた2つのスライダー
・焦点の当たる領域
・絞り
の2つについて、もう少し説明を。「絞り」についてはレンズのF値と全く同じで、
光を取り込む量を調整する物です。この絞りの値が小さければ小さい程、
ピントの合う範囲が狭くなります。
一方「焦点の当たる領域」とは、そのものズバリ被写界深度を直接操作するもの。
この焦点の当たる領域の値が小さければ小さい程、ピントが合う領域が狭くなる
という事になります。
通常はまず「焦点の当たる領域」で被写界深度を設定してから「絞り」で
ピントを合わせるという手順が妥当かと思います。
パブリックドメイン画像で拾ってきた台湾美人のポートレイト
美しくボケた背景ですが、ハニスタでこんなSSは撮れないものでしょうか
さて、上のような美しいボケを使ったポートレイトを撮るには、被写体以外の物に
ピントが合わない必要がありますので、当然「焦点の当たる領域」スライダーの値は
小さい方が良いという事になります。ところが実際にスタジオでキャラに被写界深度
設定を掛けると、何故か髪の毛が真っ先にピンボケを始めてしまい上手くボケが
出ません。実は昨日の記事で挙げたSSや他の記事のSSにも、髪の毛がピンボケ状態
の写真が多数あります。これが現状最も悩ましい問題で、撮影者は背景のボケを
選ぶか、それとも髪のピントを選ぶかの二択を迫られる状態にあるのです。
髪の毛がピンボケしない状態を維持しつつ背景をボケさせようとすると、
この写真辺りの僅かなボケが限界になってしまいます
上の本物の写真とは大違いですね
もちろんShortcutsHSには、この背景のボケ具合を大きくする方法もちゃんと
備わっています。上の写真の「最大ブラーサイズ」というスライダーを大きく
すれば簡単にボケ具合は調節できるのですが...
この様にボケ具合も大きくなりますが、髪の毛も一緒にボケるのでひどい状態に
と、こんな風に髪の毛に対する違和感も相当なレベルになってしまうのです。
この現象さえ解決すれば、本物には適わずともそこそこ良いボケが出せそうな
気がするのですが。
プログラムの事はチンプンカンプンな私には、この原因がソフト自体にあるのか
或いはShortcutsHSの設定側にあるのかは分かりません。分かったところでその
解決法すら分からないので言っても詮無き事とはいえ、何か変だなと思う部分は
1つだけあります。
上の写真をFalse状態に変えたもの
何故か髪の毛だけを認識していないようです
色々試しましたが、他の髪型でも同様に認識していない様子
ともかく、この髪の毛問題を解決出来ない以上、今はどうにかして
髪の毛のピンボケを目立たなくする方法で色々試みる他はありません。
※追記(2017/2/19)上記の髪ボケの件ですが、現状ではユーザー側で
対処の仕様が無い問題だそうです。
拠ってハニセレでボケを活用したSSを撮影する際、この髪ボケの問題を
回避する為には、以下の例の様な工夫を各自でして頂く事になるようです。
今回有益な情報をお寄せ下さったNockyさん、有難う御座いました!
※さらに追記(2017/3/27)
pH板のお友達「こんなモノ」さんのSSで発見しましたが、
髪型に拠っては、この厄介な髪ボケが発生しない物もあるようです。
これはデフォの上杉ちゃんと、こんなモノさんがキャラに使っていた髪型を
並べた上で背景を盛大にボケさせた1枚。ご覧の様に右側は全く髪ボケが
発生していません。現段階ではどの髪型がOKかは良く分かりませんが、
SSにボケを活用したい人にとっては朗報と言えると思います。
偶然とは言えこの発見の手がかりを頂いたこんなモノさん、今回も重要な
情報、誠に有難う御座いました!
では幾つか髪ボケをごまかす為の具体例を挙げてみます。
1.髪の毛のボケを背景の色でごまかしてみる
そのものズバリですね
本来の人物写真撮影のセオリーからは外れてしまいますが
2.アップで撮る
上の写真と比べて髪の毛のピンボケが気になりにくいのは
皆さんも一度はこういう写真を目にした事があるからです
目にピントを合わせて撮る事から「目ピン」写真とも呼ばれます
カメラの性質として、カメラと被写体との距離が近ければ近い程、ピントの
合う範囲はシビアになります。ですからモデルのアップ写真では、モデルの目
にはピントが合っているけれど、髪の毛や他の部分がボケている事が往々にして
あります。この特性を逆に利用して、髪の毛がボケて写っていても、見る人が
不自然と感じないシチュエーションを作って撮影する訳です。
3.被り物でごまかす
色々と試していると、どうも髪の毛は認識していないけれど、
帽子などのアクセならちゃんと認識してくれるようです。
被り物なら「そこにある」と認識している?みたいです
完全に髪を隠す物でなくとも、例えば帽子やヘルメットなどで髪の毛の
大部分を覆ってしまえば、髪ボケの違和感を減少させることが出来ます。
4.モデルからピントを外す
時には敢えてモデルからピントを外す演出もあります
こういう場合にも髪ボケはあまり気にならなくなります
と言った風に、現状では大きなボカシを活かしてポートレイトを撮るには
多少の制約、そして工夫が必要になると思います。他に良い方法が有れば、
皆さん是非Ratioにも教えて頂きたいと思います。
さて、こういった問題点は別として、ボケを活かした写真を撮る上で
是非知って置きたい注意点が1つ有りますので、それを紹介して置きましょう。
・ポートレイトで良いボケを出す為のコツ
ポートレイトも高等な手法になると「前ボケ」といって、被写体の前に敢えて
ピンボケさせるオブジェクトを配置するような場合もあるのですが、今回は
基本的な手法(被写体以外の背景をボケさせる)で撮影する際の注意点です。
まず一般的なMAPを使った撮影では多くの場合、上の写真のように
モデルの横や後ろ側にもたくさんのオブジェクト、例えば壁だったり
物だったりが点在している状況かと思います。
このような背景点在型の背景では、被写体であるモデルに近い物ほど要らぬ
ピントが合ってしまうという現象が起きます。
単純化して説明すると
この様にモデル以外の背景に近景・中景・遠景の3種があった場合、近景は
非常にボカしにくく、ハニスタでは次の中景ですらかなりボカすのが難しい
感じになります。ではどうするか。
そうです。簡単な事で、要はモデル以外全て遠景という状態を作り出せば
良い訳です。これは現実でも同じような事をします。ロケハンという奴ですね。
目的とする撮影に丁度良い場所を予め探す訳です。
モデルと遠景しか存在しないロケーションを探し当てれば
False状態ならこんな感じ ピント合わせもラクラク
被写界深度設定にも余裕が出るので、写真のように顔だけでなく前や
後ろ側の手にまでピントが合うようにしても、ここまで背景をボカせる
あとは髪の毛の問題だけ...
という事で、もしかして綺麗なボケが出せる画期的なアイデア
でも出て来るのか?と思って読みに来た皆さん、スイマセン。
ご覧頂いたように、今の所誰でも簡単綺麗なボカシポートレイト
を作れる訳ではないと思います。
ロケハンに時間を割くよりは、きにちみさんがコメントされた様に、
現状は背景の壁紙を加工ソフトでボカしてから使う方が、圧倒的に
楽にボカシポートレイトが作れるでしょう。
※追記(2017/2/19)
髪ボケの問題は、キャラの髪の毛の背後、それも直近に何かしら
オブジェクトを置く事で回避できるとの情報を得ました。
上の画像のように、キャラの背後に何でも良いので透過する物以外の
物体が来るような形でポージングすれば良いようです。
情報をお寄せ下さったこんなモノさん、有難う御座いました!
ただポートレイトに限らず、MAP写真背景でSSを撮る際に、
ここの場面は背景をボカしたいなぁ、などと感じた時、上記の髪の問題
にさえ注意すれば、被写界深度設定は十分各種のSS撮影に応用できる
機能だと思います。
by moriguchi01
| 2017-02-17 19:09
| 撮影テクニック