背景の陰影に気を配る

今日の記事は多分ライティング中級者向けの内容になるかと思います。

今日のような記事に限らず、写真もSS撮影も挑戦するのは初めてという方の
中には、私の記事を読んで「ちょっと難しすぎて今の自分には出来そうにない」
と思われる方も居られると思いますが、全然問題ありません。
分からない事は分からないまま、ただ頭の中を通して頂くだけで大丈夫です。
もし忘れてしまうなら、それは今の皆さんには差し当って必要ない物です。
でも半年後に改めて読み返した時には、もしかしたら皆さんにとって多少の
お役に立つ知識に変わっているかも知れません。
知識とは概してそういうものです。

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今日のとびら絵キャラの衣装も中国掲示板から頂いて来た本場のチャイナ服です
ただチョット問題があって、水着カテなので下着が着せられないのですw



・写真のスタイルは十人十色

世の中には人間の顔だけを写し続ける写真家がたくさん居ます。
有名な所ではアラーキーさんも芸能人の顔写真を撮り続けていますね。
ですがもっと徹底して老若男女問わず、ただひたすらに人間の顔の写真だけ
を撮り続け、それが高い評価を得ている写真家も居ます。
私が知っている中には、顔どころか両眼だけを撮っている写真家も居ますし、
随分前になりますが、とある写真展で見た「母」と題する1枚の写真は、
今でも私の心に強い強い印象を残し続けています。
その写真は「母」というタイトルですが、顔ではなく手を撮った写真でした。
しわくちゃになった老齢の女性の手の甲だけを写した写真。
その1枚には、ここで私が書いているような写真の技術とかセオリーとか
ライティングとか、そういう次元の物は一切ありません。けれどその写真が
私の心に呼び起こした感情は途方もないものです。
「母」と題し、そのしわくちゃの手を写したであろう御子息。
そこに込められた、言葉に出来ない母親への様々な気持ちを想う時、写真を
観ているこちら側もまた、言葉に出来ぬ強い感傷を感じたのです。

SS撮影に当たり、私の記事の技術やセオリーを参考にして頂くのはとても
嬉しい事ですけれども、どうか「自分のスタイル」や「自分のスタンス」を
忘れないようにして頂きたいと切に願います。
そして一番大切な物は感性です。言葉に出来なくても、撮りながら皆さんが
「良い!」と感じるものを是非大切にして下さい。


・写真における立体感の正体とは何なのか

随分以前の記事内で、人物の顔に立体感を生み出すのには「影」と「ハイライト」
という2つの要素を1つの顔の中に取り入れると上手く行く、というような事を
書きました。
実はこれはキャラに限った事ではありません。背景、つまり物に対しても全く
同じ事が言えます。ハニスタで人物の出ない風景写真を撮っても全然構わない
んですけど、どうしても写真の主役はキャラ中心になります。
ただ、プラグイン導入などでライトの数にもし余裕があるならば、人物だけで
なく、背景へのライティングに少々気を配ってみるのも一興です。
今日はその辺を話題にしてみましょう。

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これは以前撮ったSSです。まずこのSSの背景を例にとってお話してみましょう。

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これがキャラを取り去った背景のみのSSです。例によって全ての照明をOFF
にした状態で撮影しています。ライティングしていないので当然なのですが、
手前向かって左側の椅子や正面の壁、そしてそこに立てかけてあるアイテム
(RPG)には色味の変化がありません。その為、全体にベタッとした絵のような
印象です。
うるさい(写真を観る者が必要以上に気になってしまう)背景を黙らせたい時や、
写真を絵の様に見せたい場合にはこのような照明プランでも正解です。
ではまず手前の椅子に照明を当ててみます。

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茶色一色に写っていた椅子にライティングによって明暗部が生まれ、その結果
より椅子が椅子らしく写真の中で目立って写るようになりました。
次は奥の壁面にライトを当ててみましょう。

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ライトが当たっていない時には1枚の平面のように見えていましたが、ライトを
当てた事で、壁に凹凸部分があると分かるようになりましたね。
最後は壁に立てかけてあるアイテムです。

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ライトが当たる事で、写真の中でこのアイテムの実物感と存在感が増しましたね。
この様に背景全ての物にライティングする必要はありませんが、背景やアイテムの
中に、皆さんがキャラと共に見せたい物があるなら、それらにはそれ相応の
ライティングをしてやった方が、写真を観る人にアピール出来る
という事が
お分かり頂けると思います。
もちろん主役はキャラですから、背景やアイテムのライティングにばかり力を
注ぎ過ぎるのは本末転倒です。またライトが当たる事で変に画像の中で目立って
しまい、それが逆効果になる事もありますから、背景やアイテムへのライティング
には「見せる事が必要な物だけにライトを当てる」という意識が必要です。

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これは結局ボツになった物
最終的には、上のSSのような縦に構えたショットにした為です



・基本的にライトが余ったらという意識で良い

次は冒頭のSSを例にとってみましょう。

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こちらは背景を無視してキャラだけを見てライティングしたものです。
人物については問題ないと思いますが、キャラが座っている地面に色味の
変化が無いのでベタッとしていて余り遠近感が感じられません。
また背景の赤い桟橋とその奥の紅葉の色が同化してしまっていて、これも
観る者に遠近感や立体感を感じさせずらいライティングになっています。

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こちらは紅葉の中から桟橋を浮き上がらせる事を意識したライティングです。
水面に反射する部分も相まって桟橋は確かに綺麗に見えますし、空にライトが
当たらなかった分、空の青色が濃くなって紅葉の赤色が綺麗に映えます。
しかしキャラやキャラの座る地面は陰影が無くなってしまっていますね。

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こっちは画面の外にある、写真には写らない場所の影を画面に取り込んだ例
です。桟橋や人物・地面などに落ちる紅葉の影から、この場所の紅葉は奥に
ある紅葉だけではないのだなと観る人が想像できます。
このSSではキャラにこちらではなく、その見えない紅葉を見ている目線を
与えてやれば、更に効果的に見えると思います。

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最後は桟橋や紅葉にライティングで明暗を付けてみたライティング例です。
人物の後ろ側は、人物の方に目が行くよう敢えて明暗差が出ないようにして、
画面向かって左側部分で紅葉と桟橋の遠近差や立体感を見せられるよう意識
しています。
この案ならば、ここで追加ライトで人物を程よく照らしてやれば完成です。

このようにSSを撮る為に色々とライティングをいじっていると、
「このライティングいいな。でもさっきのも捨てがたいしなぁ。」という感じで、
甲乙つけがたいライティング・プランが色々と出て来ます。そういう時にあれも
これもと欲張ると、画面の中にライティングされた物が増えすぎてしまいます。
そうなると撮る側が相手に見せたい物の対象までもが分散してボヤけてしまい、
結果的に見る側が印象の薄いSSになってしまいがちになります。
ですから時には思い切った取捨択一も必要です。迷ったら「何(誰)を見せたいか」
という原点を思い出しましょう。どうしてもライティングに迷った時は、両方の
プランでキャプを撮った上で、後でじっくり見比べて決めれば良いのです。
今日の扉絵も空の青さの部分は捨てて、紅葉の赤と桟橋や風景の立体感、遠近感
の部分を取ってライティングしました。


今日のまとめ:
「写真で大切なのはあなたの感性。知識は“右手は添えるだけ”の右手みたいな物」
「背景やアイテムは、見せたい物だけにライティングをする心掛けで」
「迷った時は原点回帰、それでも迷う時は両方でキャプ撮り」


今日の話題は以上ですが、皆さんの参考になれば幸いです。
それでは皆様、良いハニセレライフを。


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by moriguchi01 | 2017-03-23 17:01 | 撮影テクニック