HSSNA照明基本講座 ③立体感の正体
2018年 01月 14日
えー、先ずお知らせを1つ。
タイトルが毎回似過ぎていて更新が分かり辛いよ!と言うご意見を
頂きました。確かに①とか②とかだけでは分かり辛いですね。
そう言う訳で今回からはタイトルを若干短くして、数字の後ろ側に
サブタイトルを入れるようにします。
扉絵はこあつさん製作のA-10のSSです。A-10かっこいいーっ!!
じゃあ今回も早速、巨匠ベータ星人さんにお話のナビゲートをお願い
して、皆さんと一緒に照明の基本を学んで行きましょう。
今回は余りお笑い要素無いですが、ご辛抱くださいませ。
「巨匠、ここは一体...? 」 「おぉ、頼み事をする前から事前に必要な物を作るとは!
「うむ、横から当たるライトの意味やその重要さを知って貰う為の 流石はベータさん、優秀なエージェントをお持ちの様で。」
良い場所は無いかと探して見たら、地球人のベータ星エージェント 「あーうん、まぁ美味い酒さえ与えておれば、愚痴も言わず
の一人が、既にこんな素晴らしい仮想空間を作っていたのだよ。」 コツコツ真面目に良い物を作ると聞いている。」
「さて。では先ずこの部屋を見た第一印象から聞くとしようか。 「おほんっ!! ..その、すいません。」
言っておくが、見たまんま“真っ白ですな”などと言う平凡な─ 」 「あぁ、まぁ良いよ、うん。誰が見たって一番の印象はそう
「真っ白で...感..す..な...想は...。」 なるだろうしね、気にするな。」「お気遣いどうも。」
「そうですな、色以外で言えば...何と言えば良いのか。平坦さが 「この部屋がゴンダ君にそういう印象を抱かせるのには、実は
際立っていると言うべきか、奥行き感が少ない様な。...まるで ちゃんとした訳がある。平坦・奥行きの無さ・絵のような。
平らな絵を見ている様な印象があります。」「その通りだ。」 それらを感じる原因は“立体感の欠如”なのだ。」「...ふむ。」
「まぁ、いきなり横ライトの説明に入っても良いのだが、絵や 「この部屋が何故、これほどのっぺりした空間に見えるか、
写真を勉強して来た様な人間でもない限り、立体感がどうのと その原因を知れば、自ずと立体感とは何なのかが分かる。」
説明されても恐らくピンと来ん。なので先ずその説明から入る。」 「なるほど! ではご説明、宜しくお願い致します。」
と言う訳で、今回はベータ星人の生みの親でもあるぜッとんさんが、
pph板で配布されたシーンデータを舞台に、横ライトの意味の前説
に当たる立体感の説明を進めて行く事に致します。
このSDはコチラのスレの#95に有りますので、気に入った方は
ドシドシそちらでDLをして下さい。
・人が見て感じる立体感に関わる、3つの要素
絵や写真など、本来平面でしか無い物が、眼で見た時に立体的に見える
のは何故なのでしょうか。そこには、恐らく大きく分けて3つの要素が
関係しているように思われます。
① 色の違いや変化
② 形状(表面の材質を含む)
③ 陰影
これら1つ1つの要素が複雑に関係し合った結果、私達はそれを立体的に
見える、或いは平面的に見えるなどと感じているのです。ここからは実際
にその例を写真で見ながら検証してみましょう。
基本図形を4種並べ、デフォルトとHSSNA、2種類のライティングに拠る
見え方の違いを比較しました。
一目瞭然、シッカリした陰影差が生じるHSSNAの方が、立体をより立体的
に見せてくれますね。第一回目でお話した内容の繰り返しになりますが、
デフォのライト(恐らくHSSNAのSkyboxと同じ物)は全周方向的な光源
なので、どうしてもその光が陰影差を薄めてしまうのです。
「確かにデフォは球なのに円のように、クリスタルは只のひし形に、 「おぉ、この角度ならキューブとシリンダーの形の違い迄もが
キューブとシリンダーは同じ四角に見えるばかりか、両者の見分け 一目瞭然ですな。」「立体とはつまり多面体だという事だ。
すら難しい状態ですね。」 多面体であっても、その一面しか写らない様な角度で撮って
「今日の話題とは直接関係無いが、更に立体的に見せる方法が有る。 しまえば、それはもう写真的には平面と変わらないのだよ。」
...こうして立体の方向をずらして、それぞれの平面に出来る影の 「なるほど。」「これは人体を取る時も同じ事が言える。」
濃さが同じにならない様にライト位置を調整すれば─ 」
被写体の真正面のアングルから、真正面にライトを当てた撮り方と、
どちらもやや斜め方向からにした画像の見え方の違いの比較です。
斜めの方はライト1本で撮ったのでやや影が濃いですが、正面からの
ショットは被写体における影が占める面積が少ないせいで、立体感が
薄れており、見た目の面白さ・趣も、斜めに比べて欠ける印象です。
胸やお尻、腰のくびれなど、女性の体は男性に比べて起伏が激しい物
です。つまり女性の体と言うのはそれだけ立体感を活かせる、活かして
撮る事で画面が映える被写体であるとも言えます。
上の様な、ライトもアングルも真正面からという撮り方は、女性の体が
持つ美しいラインとそれが生み出す立体感を強調し辛い為、一般的には
余りお勧め出来ない撮り方という事になります。勿論そういう撮り方が
悪いとか、間違って居るという事では決してありませんが。
「それと大事な事だが、画面に立体感が不足してしまうのは、何も 「影を無くそうとする余り、こんな風にキャラの周囲に無数の
被写体の角度やライトの角度だけに依存する訳では無い。」 ライトを設置してしまえば、これはもう実質的にデフォルト
「と、言いますと?」「撮影初心者の内はキャラを見せたい、見て の全周囲ライトと同じになってしまうだろう?」
欲しい!という気持ちが強すぎて、どうしてもキャラに出来る影 「...あぁ、確かに。これでは、折角のHSSNAライティングの
を排除したいという欲求が強くなりがちだ。」 利点を活かしているとは言い難いですなぁ。」
撮影の初心者の方々に一点、どうしても理解をして頂きたいのは、
写真には必要な影と、そうでない影があるという点です。
最初の基本図形の写真からも分かるように、被写体に自然で美しい
立体感をもたらす為には、ある程度の影は必要なのだという点は是非
理解して頂きたいと思います。そして、その“必要な影”を作ったり、
より美しく見えるように工夫したり、或いは残したりする取捨選択、
選別作業こそが“ライティング作業”なのだという訳です。
また照明の構築に際してはメインとサブ、2種類のライトの使い分け
をシッカリ意識する事も重要です。映画でも何でも、主役(メイン)
よりも脇役(サブ)が目立ってはいけませんよね。ことライティング
に関しても全く同じ事が言えるのです。
おっと、随分と話題が逸れて来ました。お話を立体感の正体という所
に戻しましょう。次は色が立体感に与える影響について考えてみる事
にしましょう。
先程の基本図形に色を付け、全く同じ大きさと色・構成で、奥側にも
同じ図形を並べてみます。
「こうして見ても、やはりHSSNAの方が立体的に見えますな。」 「ここで奥側にある図形の明るさだけを2割ほど暗くする。」
「うむ、だが今回着目すべきは其処ではない。画面の立体感を構成 「あっ、何と言うか、先程より更に遠近感が増した様な気が
する要素の1つとして、こうして物と物が重なった状態が見える します!」
事が挙げられる。奥側にある物が手前側に有る物を隠してしまう 「そうだ。これは写真というよりも絵画のセオリーに近い物
様な事は物理的に起こり得ない。故に我々はそこに奥行きがある かも知れんが、手前と奥に同じ色・同じ明るさの物が重なる
事を認識する。」「普段は意識しませんが、その通りですな。」 と、その部分の立体感や遠近感が損なわれてしまうのだ。」
「もっと単純にすれば、こうだ。この赤い四角は上下2つ共に 「そうだ。似たような状況で写真に一番起こり易いと言えば...。」
前後に重なっているが、下はそうは見えない。」 「あっ!! 背景色と衣装の色が被る。あります、こういう事!」
「つまり同じ色・明るさの物は、画面上で互いに重ならないよう 「勿論敢えて白い背景に白い服、黒い背景に黒い服という特殊な
にしないと、立体感を損なう原因になる訳ですな。」 撮影もありだが、セオリーとしては避けるべき組み合わせだ。」
「だが、こうしてライトの角度を巧く調節さえすれば...。」 「んっ!? だが待てよ。白は良いとして黒い方はどうするのだ?
「おぉっ、白い方は奥の衝立が少し暗くなっただけで、モデルの そもそも黒い物に立体感を付ける影など作れないし、ライト
身体の輪郭がクッキリ出て、十分に立体感が感じられますな!」 を当てた所で色も黒いまんまなのに...? 」
「わざわざ服や背景を変えずとも、ライト1本だけでもここまで 「まぁ慌てるな。それを今から説明するのだ。あー筆者代理君、
出来るという事だな。」 さっき私が言っていた画像を頼む。」「了解です!」
こちらの画像は、イリュゲーMOD界のド〇えもんこと、
雨宮弥白さんの作品です。全身黒系統で固めたコーデ
ですが、良く見るとそれぞれの黒は全て微妙に色合い
やツヤの強さが異なりますね。
一口に黒と言っても、実はたった一色しか無い訳では
ありません。闇夜の様な漆黒も有れば、限りなく灰色
に近い黒もあります。衣装などの黒ならば、その材質
に拠ってツヤもまた違ってくるのです。
...と、此処まで書けばもうお分かりかと思います。
そう、白など明るい色に立体感を出すのが「影」の役目
というなら、黒など暗い色に立体感を出す為には、この
「艶出し」が決め手になってくる訳です。
背景を単純に黒の反対色である白にせず、敢えてグレー系、それもボトムパンツの
色にほど近い明度のグレーを選択した所に、雨宮さんの非凡なカラーセンスを感じます
目に優しいグレーにした事で明度差が抑えられ、じっくりと画面を見る事が出来ます
「なるほど、黒には艶か!言われてみれば当然ですが、そういう 「ほう。こちらも先程より背景との境界がハッキリしました。」
知識すら知らずに来た者からすれば、まさに目からウロコの 「この衣装は相当な光量を当てないとツヤすら出ない素材だった
考え方に思えますな。」 ので、さっきの雨宮さんの様なディテール出しは無理だった。
「じゃあさっきの黒い服の方にも、ライトを当ててみよう。」 なのでそこはスッパリ諦め、背景板にアクセントを付けてみた。
苦肉の策だが、まぁ照明バリエーションの1つとも言える。」
「素人考えですが、こういう白い背景ではダメなのですか?」
「勿論有りだが、こういうシンプルな色調で撮る方法は、例えば
モデルの表情だけを見て欲しいとか、視線を1つ所に集めたい時
に使われる場合が多い。...良く見てみると、キャラの服は真っ黒、
背景は真っ白で、キャラの肌と髪色以外に階層(グラデーション)
が一切無いだろう?」「あぁ、はい。」
「こういう画ヅラは、得てして“子供の絵”になりがちでな。小さな
子供が描く絵は、例えば赤い色は全て同じ赤一色で塗り潰したり
するだろう? アレと同じだ。」「あーそうですねぇ。」
「つまりこういうベタッとした色味の撮り方をするのは、敢えて
単純な色味部分以外に見る人の眼を向けさせたい時が多いのだ。
普通のポートレイトでは、モデルのポーズや表情・衣装の奇抜さ
など、色味の変化や陰影以外に1つ飛び抜けて“見て面白い部分”
を作らねば、俗に子供の絵と称される、面白みに欠けた絵ヅラに
なってしまいがちだという事だな。」
さて、黒など暗い色に立体感を出す方法として、今回は黒い服を例に
出しましたが、写真ではもう1つ、キャラの黒髪もまた黒い服と同様
に暗い背景に溶け込んでしまう要素の1つですね。
この黒髪も、前述した通り暗い背景に黒髪を溶け込ませるか、或いは
艶を出して輪郭をハッキリさせるのか。この2つの手法の内どちらを
選択するかで、写真の見た目が随分と変わります。皆さん方も機会が
あれば是非お試しあれ。
...と、まぁこんな風に、白など明るい色系には影で陰影を、逆に黒
など暗色系の色には艶で陰影付けする事で、衣装を含め被写体に対し、
人間が立体感を感じる元となる陰影差が画面に生まれる...という点に
ついては、皆さん承知して頂けたかと思います。
最後は②の形状についてです。
「立体感に形状が関わっていると聞くと、何となく分かるような 「簡単に言えば、この基本図形の様に、形が単純で表面が平坦
気もしますが、それでもその例を1つ示せと言われてしまうと、 な形状の物ほど立体感が出しづらいと言える。」
どう説明すれば良いか分かりません。」 「形が単純だと立体感が出し難いと言うのは まぁ分かりますが、
「まぁこれも写真や映像を撮る様な人間でも無ければ、普通の人 表面の状態も、やはり立体感に関係してくるのですな?」
は気にも留めないからな。」
ベータ星人さんが言ってる事は非常に単純な事です。
例えば同じ四角く見える物として、キューブと座布団、それに皺の
寄った布切れを並べて、光を当ててみます。
座布団には僅かですが起伏があります。影を強調するライトの当て方
をすれば、そこに出来る僅かな影ですら座布団が真っ平でない事を
理解させてくれます。皺の寄った布切れならば、ライトの当て方次第
で見栄えに大きな変化が生じます。そしてベータ星人さんの言う様に、
単純且つ平坦なキューブは殆ど光の当て方に左右されませんので、
立体感が出し難い訳ですね。
ですが一点、ここで3D空間特有の特殊な事情についてです。これは
皆さんも理解して置く必要があると思われますので、それを説明して
置きます。
「クドクドと口で説明するより、見比べてみるのが一番早いし 「えーご覧の通り、表面に模様や色味の変化があった方が、より
分かり易いだろう。」「木の椅子。」「代理君、説明頼むぞ。」 質感や立体感が増すと言う事なんですが、3D世界には現実とは
「あー、と言っても私も決して3Dの専門家ではないのですが。」 違う点も多々あるので、そこは注意が必要です。」
「少なくとも私よりは詳しい。」「はぁ、では僭越ながら...。」 「違う点?」「ハイ、テクスチャです。」
「この椅子、遠目に見ると木で出来ていて、表面も木の様に僅かな 「まぁバンプマップ...だったかな? こういう紙に書いた絵的な
デコボコが有る様に見えると思いますが、こうしてポイントライト 物ではなく、光を当てると凹凸の影が出る物もあるのですが。」
を当ててみると...」「あっ、ツルツルだ!」 「地面なども複雑な起伏のありそうな感じに見えて、ライトを
「そうです。それっぽく見える絵、つまりテクスチャを貼っている 当ててみると真っ平だった、なんて事が良くあるのだ。」
だけで、実際の表面の様子はこの基本図形で作った隣の白い椅子 「うーん、ただこればかりは...。」「そうだな。」
と同じなんです。」
私は3Dモデリングの舞台裏については、本当に初歩の初歩みたいな事
しか知りません。なので、詳しい話など出来よう筈も無いのですが、
ただ一つ言える事は“ライトを当てた時に、きちんと質感やディテール
が出る物なら、それが背景であれ衣装であれ、なるだけそれを活かす
方が、写真にとってプラスになる場合が多い”という事です。
こちらはくぐつさんが最近発表された衣装2種です。
全体の様子を見て頂く為に引きで撮っていますが、
セーターの網目の様子や、レースの細かい刺繍部分
などが大変リアルで綺麗に出来上がっています。
これから先、それぞれのモッダーさんの知識や技量
が進歩して行けば、ハニセレ(或いはプレホ)にも
こういう素晴らしい衣装がドンドン増えて行くかも
知れません。
まぁですが、現状は“アップに耐え得る衣装”という
のはそうそう多くもないので、もしこの様に優れた
質感の衣装を見つけた時は、それを活かした撮影に
挑戦して頂くのも良いかと思います。
※ご紹介したくぐつさんの衣装は、氏のツイッター
もしくはpph板にDLリンクの記載があります
モデルはばりたつさんトコの「浦 あい」さんと、BlackDanteさんトコの
「保坂 夏」さんにお願いしましたよー
「どうだったかな? 駆け足で我々が写真を見て感じる立体感の 「スマンがその答え合わせは次回に持ち越しだ。」「えぇっ!?」
正体について話してみたが。」 「思い付くままに話したり撮ったりで、今回も予定の枚数を
「はい。何となくですが、朧気にあの横からのライトの意味も 大幅にオーバーしてしまった。...まぁいつもの事なのだが。」
分かって来たような。つまりあのライトと言うのは─ 」 「...そうですか、残念です。」
「あーいやいや、待ってくれ。」 「あのー、スイマセン!」
「申し訳ないんですが、もう私リアル世界の方で仕事に向かわ 「僕は筆者さんとリアル世界で知り合いのハニセレ仲間です。
ないといけない時間になりまして。あっ、筆者さんと通話が 今日はたまたま仕事が夜からで、筆者さんの家に遊びに。
出来る端末は置いて行きますので。」「そうなのか。色々と そこで急に“行ってくれ”と頼まれまして。」「ほぅ。」
助かったよ。...と言うか今更アレだが、そもそも君は何故?」 「...左様でしたか。見ず知らずの我々の為にわざわざお越し
頂き─ 」「良いんですよ。同じハニセレ仲間なんですから。」
「ありがとう、改めて礼を申し上げる。」「あ、はい、こちらこそ 「駅前の蕎麦屋なんすけど料理とか苦手なんで、専ら接客と
有名なベータ星人さんのお力に成れて光栄でした!」 出前ばっかりやってます。それじゃ、また!! 」
「..ちなみにリアル世界では、どんなお仕事を? 差し支えなければ 「.......。」「.......。」
で結構ですが。」「僕ですか? 大学生なんでアルバイトっす。」
「ホントに蕎麦屋の兄ちゃんだった!!! 」
と言う訳で今回の更新は此処までです。
本文中に書いた通り、色々話が寄り道をしすぎて冗長になってしまい
申し訳ないです。色々書きましたが箇条書きした3つの要素について
何となぁ~く理解して頂いておれば大丈夫かとw
次回の更新は一週間後位を目途に考えています。
それでは皆様、良いハニセレライフを。
タイトルが毎回似過ぎていて更新が分かり辛いよ!と言うご意見を
頂きました。確かに①とか②とかだけでは分かり辛いですね。
そう言う訳で今回からはタイトルを若干短くして、数字の後ろ側に
サブタイトルを入れるようにします。
扉絵はこあつさん製作のA-10のSSです。A-10かっこいいーっ!!
じゃあ今回も早速、巨匠ベータ星人さんにお話のナビゲートをお願い
して、皆さんと一緒に照明の基本を学んで行きましょう。
今回は余りお笑い要素無いですが、ご辛抱くださいませ。
「巨匠、ここは一体...? 」 「おぉ、頼み事をする前から事前に必要な物を作るとは!
「うむ、横から当たるライトの意味やその重要さを知って貰う為の 流石はベータさん、優秀なエージェントをお持ちの様で。」
良い場所は無いかと探して見たら、地球人のベータ星エージェント 「あーうん、まぁ美味い酒さえ与えておれば、愚痴も言わず
の一人が、既にこんな素晴らしい仮想空間を作っていたのだよ。」 コツコツ真面目に良い物を作ると聞いている。」
「さて。では先ずこの部屋を見た第一印象から聞くとしようか。 「おほんっ!! ..その、すいません。」
言っておくが、見たまんま“真っ白ですな”などと言う平凡な─ 」 「あぁ、まぁ良いよ、うん。誰が見たって一番の印象はそう
「真っ白で...感..す..な...想は...。」 なるだろうしね、気にするな。」「お気遣いどうも。」
「そうですな、色以外で言えば...何と言えば良いのか。平坦さが 「この部屋がゴンダ君にそういう印象を抱かせるのには、実は
際立っていると言うべきか、奥行き感が少ない様な。...まるで ちゃんとした訳がある。平坦・奥行きの無さ・絵のような。
平らな絵を見ている様な印象があります。」「その通りだ。」 それらを感じる原因は“立体感の欠如”なのだ。」「...ふむ。」
「まぁ、いきなり横ライトの説明に入っても良いのだが、絵や 「この部屋が何故、これほどのっぺりした空間に見えるか、
写真を勉強して来た様な人間でもない限り、立体感がどうのと その原因を知れば、自ずと立体感とは何なのかが分かる。」
説明されても恐らくピンと来ん。なので先ずその説明から入る。」 「なるほど! ではご説明、宜しくお願い致します。」
と言う訳で、今回はベータ星人の生みの親でもあるぜッとんさんが、
pph板で配布されたシーンデータを舞台に、横ライトの意味の前説
に当たる立体感の説明を進めて行く事に致します。
このSDはコチラのスレの#95に有りますので、気に入った方は
ドシドシそちらでDLをして下さい。
・人が見て感じる立体感に関わる、3つの要素
絵や写真など、本来平面でしか無い物が、眼で見た時に立体的に見える
のは何故なのでしょうか。そこには、恐らく大きく分けて3つの要素が
関係しているように思われます。
① 色の違いや変化
② 形状(表面の材質を含む)
③ 陰影
これら1つ1つの要素が複雑に関係し合った結果、私達はそれを立体的に
見える、或いは平面的に見えるなどと感じているのです。ここからは実際
にその例を写真で見ながら検証してみましょう。
基本図形を4種並べ、デフォルトとHSSNA、2種類のライティングに拠る
見え方の違いを比較しました。
一目瞭然、シッカリした陰影差が生じるHSSNAの方が、立体をより立体的
に見せてくれますね。第一回目でお話した内容の繰り返しになりますが、
デフォのライト(恐らくHSSNAのSkyboxと同じ物)は全周方向的な光源
なので、どうしてもその光が陰影差を薄めてしまうのです。
「確かにデフォは球なのに円のように、クリスタルは只のひし形に、 「おぉ、この角度ならキューブとシリンダーの形の違い迄もが
キューブとシリンダーは同じ四角に見えるばかりか、両者の見分け 一目瞭然ですな。」「立体とはつまり多面体だという事だ。
すら難しい状態ですね。」 多面体であっても、その一面しか写らない様な角度で撮って
「今日の話題とは直接関係無いが、更に立体的に見せる方法が有る。 しまえば、それはもう写真的には平面と変わらないのだよ。」
...こうして立体の方向をずらして、それぞれの平面に出来る影の 「なるほど。」「これは人体を取る時も同じ事が言える。」
濃さが同じにならない様にライト位置を調整すれば─ 」
被写体の真正面のアングルから、真正面にライトを当てた撮り方と、
どちらもやや斜め方向からにした画像の見え方の違いの比較です。
斜めの方はライト1本で撮ったのでやや影が濃いですが、正面からの
ショットは被写体における影が占める面積が少ないせいで、立体感が
薄れており、見た目の面白さ・趣も、斜めに比べて欠ける印象です。
胸やお尻、腰のくびれなど、女性の体は男性に比べて起伏が激しい物
です。つまり女性の体と言うのはそれだけ立体感を活かせる、活かして
撮る事で画面が映える被写体であるとも言えます。
上の様な、ライトもアングルも真正面からという撮り方は、女性の体が
持つ美しいラインとそれが生み出す立体感を強調し辛い為、一般的には
余りお勧め出来ない撮り方という事になります。勿論そういう撮り方が
悪いとか、間違って居るという事では決してありませんが。
「それと大事な事だが、画面に立体感が不足してしまうのは、何も 「影を無くそうとする余り、こんな風にキャラの周囲に無数の
被写体の角度やライトの角度だけに依存する訳では無い。」 ライトを設置してしまえば、これはもう実質的にデフォルト
「と、言いますと?」「撮影初心者の内はキャラを見せたい、見て の全周囲ライトと同じになってしまうだろう?」
欲しい!という気持ちが強すぎて、どうしてもキャラに出来る影 「...あぁ、確かに。これでは、折角のHSSNAライティングの
を排除したいという欲求が強くなりがちだ。」 利点を活かしているとは言い難いですなぁ。」
撮影の初心者の方々に一点、どうしても理解をして頂きたいのは、
写真には必要な影と、そうでない影があるという点です。
最初の基本図形の写真からも分かるように、被写体に自然で美しい
立体感をもたらす為には、ある程度の影は必要なのだという点は是非
理解して頂きたいと思います。そして、その“必要な影”を作ったり、
より美しく見えるように工夫したり、或いは残したりする取捨選択、
選別作業こそが“ライティング作業”なのだという訳です。
また照明の構築に際してはメインとサブ、2種類のライトの使い分け
をシッカリ意識する事も重要です。映画でも何でも、主役(メイン)
よりも脇役(サブ)が目立ってはいけませんよね。ことライティング
に関しても全く同じ事が言えるのです。
おっと、随分と話題が逸れて来ました。お話を立体感の正体という所
に戻しましょう。次は色が立体感に与える影響について考えてみる事
にしましょう。
先程の基本図形に色を付け、全く同じ大きさと色・構成で、奥側にも
同じ図形を並べてみます。
「こうして見ても、やはりHSSNAの方が立体的に見えますな。」 「ここで奥側にある図形の明るさだけを2割ほど暗くする。」
「うむ、だが今回着目すべきは其処ではない。画面の立体感を構成 「あっ、何と言うか、先程より更に遠近感が増した様な気が
する要素の1つとして、こうして物と物が重なった状態が見える します!」
事が挙げられる。奥側にある物が手前側に有る物を隠してしまう 「そうだ。これは写真というよりも絵画のセオリーに近い物
様な事は物理的に起こり得ない。故に我々はそこに奥行きがある かも知れんが、手前と奥に同じ色・同じ明るさの物が重なる
事を認識する。」「普段は意識しませんが、その通りですな。」 と、その部分の立体感や遠近感が損なわれてしまうのだ。」
「もっと単純にすれば、こうだ。この赤い四角は上下2つ共に 「そうだ。似たような状況で写真に一番起こり易いと言えば...。」
前後に重なっているが、下はそうは見えない。」 「あっ!! 背景色と衣装の色が被る。あります、こういう事!」
「つまり同じ色・明るさの物は、画面上で互いに重ならないよう 「勿論敢えて白い背景に白い服、黒い背景に黒い服という特殊な
にしないと、立体感を損なう原因になる訳ですな。」 撮影もありだが、セオリーとしては避けるべき組み合わせだ。」
「だが、こうしてライトの角度を巧く調節さえすれば...。」 「んっ!? だが待てよ。白は良いとして黒い方はどうするのだ?
「おぉっ、白い方は奥の衝立が少し暗くなっただけで、モデルの そもそも黒い物に立体感を付ける影など作れないし、ライト
身体の輪郭がクッキリ出て、十分に立体感が感じられますな!」 を当てた所で色も黒いまんまなのに...? 」
「わざわざ服や背景を変えずとも、ライト1本だけでもここまで 「まぁ慌てるな。それを今から説明するのだ。あー筆者代理君、
出来るという事だな。」 さっき私が言っていた画像を頼む。」「了解です!」
こちらの画像は、イリュゲーMOD界のド〇えもんこと、
雨宮弥白さんの作品です。全身黒系統で固めたコーデ
ですが、良く見るとそれぞれの黒は全て微妙に色合い
やツヤの強さが異なりますね。
一口に黒と言っても、実はたった一色しか無い訳では
ありません。闇夜の様な漆黒も有れば、限りなく灰色
に近い黒もあります。衣装などの黒ならば、その材質
に拠ってツヤもまた違ってくるのです。
...と、此処まで書けばもうお分かりかと思います。
そう、白など明るい色に立体感を出すのが「影」の役目
というなら、黒など暗い色に立体感を出す為には、この
「艶出し」が決め手になってくる訳です。
背景を単純に黒の反対色である白にせず、敢えてグレー系、それもボトムパンツの
色にほど近い明度のグレーを選択した所に、雨宮さんの非凡なカラーセンスを感じます
目に優しいグレーにした事で明度差が抑えられ、じっくりと画面を見る事が出来ます
「なるほど、黒には艶か!言われてみれば当然ですが、そういう 「ほう。こちらも先程より背景との境界がハッキリしました。」
知識すら知らずに来た者からすれば、まさに目からウロコの 「この衣装は相当な光量を当てないとツヤすら出ない素材だった
考え方に思えますな。」 ので、さっきの雨宮さんの様なディテール出しは無理だった。
「じゃあさっきの黒い服の方にも、ライトを当ててみよう。」 なのでそこはスッパリ諦め、背景板にアクセントを付けてみた。
苦肉の策だが、まぁ照明バリエーションの1つとも言える。」
「素人考えですが、こういう白い背景ではダメなのですか?」
「勿論有りだが、こういうシンプルな色調で撮る方法は、例えば
モデルの表情だけを見て欲しいとか、視線を1つ所に集めたい時
に使われる場合が多い。...良く見てみると、キャラの服は真っ黒、
背景は真っ白で、キャラの肌と髪色以外に階層(グラデーション)
が一切無いだろう?」「あぁ、はい。」
「こういう画ヅラは、得てして“子供の絵”になりがちでな。小さな
子供が描く絵は、例えば赤い色は全て同じ赤一色で塗り潰したり
するだろう? アレと同じだ。」「あーそうですねぇ。」
「つまりこういうベタッとした色味の撮り方をするのは、敢えて
単純な色味部分以外に見る人の眼を向けさせたい時が多いのだ。
普通のポートレイトでは、モデルのポーズや表情・衣装の奇抜さ
など、色味の変化や陰影以外に1つ飛び抜けて“見て面白い部分”
を作らねば、俗に子供の絵と称される、面白みに欠けた絵ヅラに
なってしまいがちだという事だな。」
さて、黒など暗い色に立体感を出す方法として、今回は黒い服を例に
出しましたが、写真ではもう1つ、キャラの黒髪もまた黒い服と同様
に暗い背景に溶け込んでしまう要素の1つですね。
この黒髪も、前述した通り暗い背景に黒髪を溶け込ませるか、或いは
艶を出して輪郭をハッキリさせるのか。この2つの手法の内どちらを
選択するかで、写真の見た目が随分と変わります。皆さん方も機会が
あれば是非お試しあれ。
...と、まぁこんな風に、白など明るい色系には影で陰影を、逆に黒
など暗色系の色には艶で陰影付けする事で、衣装を含め被写体に対し、
人間が立体感を感じる元となる陰影差が画面に生まれる...という点に
ついては、皆さん承知して頂けたかと思います。
最後は②の形状についてです。
「立体感に形状が関わっていると聞くと、何となく分かるような 「簡単に言えば、この基本図形の様に、形が単純で表面が平坦
気もしますが、それでもその例を1つ示せと言われてしまうと、 な形状の物ほど立体感が出しづらいと言える。」
どう説明すれば良いか分かりません。」 「形が単純だと立体感が出し難いと言うのは まぁ分かりますが、
「まぁこれも写真や映像を撮る様な人間でも無ければ、普通の人 表面の状態も、やはり立体感に関係してくるのですな?」
は気にも留めないからな。」
ベータ星人さんが言ってる事は非常に単純な事です。
例えば同じ四角く見える物として、キューブと座布団、それに皺の
寄った布切れを並べて、光を当ててみます。
座布団には僅かですが起伏があります。影を強調するライトの当て方
をすれば、そこに出来る僅かな影ですら座布団が真っ平でない事を
理解させてくれます。皺の寄った布切れならば、ライトの当て方次第
で見栄えに大きな変化が生じます。そしてベータ星人さんの言う様に、
単純且つ平坦なキューブは殆ど光の当て方に左右されませんので、
立体感が出し難い訳ですね。
ですが一点、ここで3D空間特有の特殊な事情についてです。これは
皆さんも理解して置く必要があると思われますので、それを説明して
置きます。
「クドクドと口で説明するより、見比べてみるのが一番早いし 「えーご覧の通り、表面に模様や色味の変化があった方が、より
分かり易いだろう。」「木の椅子。」「代理君、説明頼むぞ。」 質感や立体感が増すと言う事なんですが、3D世界には現実とは
「あー、と言っても私も決して3Dの専門家ではないのですが。」 違う点も多々あるので、そこは注意が必要です。」
「少なくとも私よりは詳しい。」「はぁ、では僭越ながら...。」 「違う点?」「ハイ、テクスチャです。」
「この椅子、遠目に見ると木で出来ていて、表面も木の様に僅かな 「まぁバンプマップ...だったかな? こういう紙に書いた絵的な
デコボコが有る様に見えると思いますが、こうしてポイントライト 物ではなく、光を当てると凹凸の影が出る物もあるのですが。」
を当ててみると...」「あっ、ツルツルだ!」 「地面なども複雑な起伏のありそうな感じに見えて、ライトを
「そうです。それっぽく見える絵、つまりテクスチャを貼っている 当ててみると真っ平だった、なんて事が良くあるのだ。」
だけで、実際の表面の様子はこの基本図形で作った隣の白い椅子 「うーん、ただこればかりは...。」「そうだな。」
と同じなんです。」
私は3Dモデリングの舞台裏については、本当に初歩の初歩みたいな事
しか知りません。なので、詳しい話など出来よう筈も無いのですが、
ただ一つ言える事は“ライトを当てた時に、きちんと質感やディテール
が出る物なら、それが背景であれ衣装であれ、なるだけそれを活かす
方が、写真にとってプラスになる場合が多い”という事です。
こちらはくぐつさんが最近発表された衣装2種です。
全体の様子を見て頂く為に引きで撮っていますが、
セーターの網目の様子や、レースの細かい刺繍部分
などが大変リアルで綺麗に出来上がっています。
これから先、それぞれのモッダーさんの知識や技量
が進歩して行けば、ハニセレ(或いはプレホ)にも
こういう素晴らしい衣装がドンドン増えて行くかも
知れません。
まぁですが、現状は“アップに耐え得る衣装”という
のはそうそう多くもないので、もしこの様に優れた
質感の衣装を見つけた時は、それを活かした撮影に
挑戦して頂くのも良いかと思います。
※ご紹介したくぐつさんの衣装は、氏のツイッター
もしくはpph板にDLリンクの記載があります
モデルはばりたつさんトコの「浦 あい」さんと、BlackDanteさんトコの
「保坂 夏」さんにお願いしましたよー
「どうだったかな? 駆け足で我々が写真を見て感じる立体感の 「スマンがその答え合わせは次回に持ち越しだ。」「えぇっ!?」
正体について話してみたが。」 「思い付くままに話したり撮ったりで、今回も予定の枚数を
「はい。何となくですが、朧気にあの横からのライトの意味も 大幅にオーバーしてしまった。...まぁいつもの事なのだが。」
分かって来たような。つまりあのライトと言うのは─ 」 「...そうですか、残念です。」
「あーいやいや、待ってくれ。」 「あのー、スイマセン!」
「申し訳ないんですが、もう私リアル世界の方で仕事に向かわ 「僕は筆者さんとリアル世界で知り合いのハニセレ仲間です。
ないといけない時間になりまして。あっ、筆者さんと通話が 今日はたまたま仕事が夜からで、筆者さんの家に遊びに。
出来る端末は置いて行きますので。」「そうなのか。色々と そこで急に“行ってくれ”と頼まれまして。」「ほぅ。」
助かったよ。...と言うか今更アレだが、そもそも君は何故?」 「...左様でしたか。見ず知らずの我々の為にわざわざお越し
頂き─ 」「良いんですよ。同じハニセレ仲間なんですから。」
「ありがとう、改めて礼を申し上げる。」「あ、はい、こちらこそ 「駅前の蕎麦屋なんすけど料理とか苦手なんで、専ら接客と
有名なベータ星人さんのお力に成れて光栄でした!」 出前ばっかりやってます。それじゃ、また!! 」
「..ちなみにリアル世界では、どんなお仕事を? 差し支えなければ 「.......。」「.......。」
で結構ですが。」「僕ですか? 大学生なんでアルバイトっす。」
「ホントに蕎麦屋の兄ちゃんだった!!! 」
と言う訳で今回の更新は此処までです。
本文中に書いた通り、色々話が寄り道をしすぎて冗長になってしまい
申し訳ないです。色々書きましたが箇条書きした3つの要素について
何となぁ~く理解して頂いておれば大丈夫かとw
次回の更新は一週間後位を目途に考えています。
それでは皆様、良いハニセレライフを。
by moriguchi01
| 2018-01-14 11:20
| 撮影テクニック